漂えど沈まず・・・・儚くもたくましく

ミズクラゲ
ふわふわ漂う透明な体。
これも、“生命のかたち”
しばしば、漁師さんたちを悩ませる、
エチゼンクラゲのように、巨大なクラゲもいますが、
クラゲも色々。

こちら、この時期、各地の沿岸で見られる、
「ドフラインクラゲ」
傘の高さが2センチほどの、
春を告げる、小さなクラゲです。
動いているのが不思議なくらいですが、
ここにも、生命が宿っています。
クラゲの体は実に単純。
体の90パーセント以上が水分で、
脳もない、心臓もない・・・
胃、口、触手などがあるだけの、
なんとも、シンプルライフなのです!
それでも、生きるために必要な機能を搭載した、
極めて優れたシステムと言えましょう。
そんなクラゲの起源は思いのほか古く、
その祖先は、およそ10億年前に
地球に出現したと言われています。
人類が現れるずっとずっと前から、
儚くも、たくましく生き抜いてきました。
そして、これからも、漂えど沈まず・・・・

カブトクラゲ
写真は全て東海大学海洋科学博物館にて撮影しました
スポンサーサイト
“二枚貝”なんて言わせない! 君は腕足類(わんそくるい)
“腕足類(わんそくるい)”と聞いて、「ああ、あれね!」
と思う方はそう多くはないはず。
見た目は軟体動物(門)の二枚貝そっくりですが、
「腕足動物(門)」という独立した“孤高”の存在。
二枚貝と腕足類はまさに、“他人のそら似”の関係なのです。

日本の代表的腕足類・ミドリシャミセンガイ ジョルジュ・キュヴィエ「動物界」(1817)より
では、どこがそんなに違うのかというと、
二枚貝の殻が体の左右にあるのに対し、
腕足類は体の上下にそれぞれ一枚ずつあるのだとか。
ところで、もっと分かりやすい違いがあります。それは・・・
“おいしいかどうか”
アサリなどの二枚貝は魚屋さんでもおなじみ。
まさに、“おいしい生き物”なのです。
対して、腕足類は、魚屋さんでお目にかかる機会は
まずないと言ってよいでしょう。※
知名度の低さは、人との関わりの薄さにあるのかもしれません。
古生代(5億4000万年前~2億5000万年前)に大繁栄した腕足類は、
今や風前の灯。栄枯盛衰・・・。
それでも彼らは生き抜いています。
海の片隅、遠い過去の栄光にひたりながら・・・

モロッコ産 リンコネラ(腕足類) 白亜紀(約1億年前)
左2.5cm 右3.0cm
※九州北西部の有明海では“めかじゃ”と呼ばれ、
珍味として知られているそうです。
と思う方はそう多くはないはず。
見た目は軟体動物(門)の二枚貝そっくりですが、
「腕足動物(門)」という独立した“孤高”の存在。
二枚貝と腕足類はまさに、“他人のそら似”の関係なのです。

日本の代表的腕足類・ミドリシャミセンガイ ジョルジュ・キュヴィエ「動物界」(1817)より
では、どこがそんなに違うのかというと、
二枚貝の殻が体の左右にあるのに対し、
腕足類は体の上下にそれぞれ一枚ずつあるのだとか。
ところで、もっと分かりやすい違いがあります。それは・・・
“おいしいかどうか”
アサリなどの二枚貝は魚屋さんでもおなじみ。
まさに、“おいしい生き物”なのです。
対して、腕足類は、魚屋さんでお目にかかる機会は
まずないと言ってよいでしょう。※
知名度の低さは、人との関わりの薄さにあるのかもしれません。
古生代(5億4000万年前~2億5000万年前)に大繁栄した腕足類は、
今や風前の灯。栄枯盛衰・・・。
それでも彼らは生き抜いています。
海の片隅、遠い過去の栄光にひたりながら・・・

モロッコ産 リンコネラ(腕足類) 白亜紀(約1億年前)
左2.5cm 右3.0cm
※九州北西部の有明海では“めかじゃ”と呼ばれ、
珍味として知られているそうです。
ガラス越しに見つめ合って・・・イカは何を思う?
日本人は無類のイカ好き。
イカが“おいしい”ことは誰でも知っていますが、
改めて“生き物”としての彼らを見つめてみると・・・

東海大学海洋科学博物館にて コウイカ
ホバリングしながらこちらを覗う様子は、
単に刺激に反応しているのとは違う、
思慮深さのようなものを感じます。
“海の霊長類”
イカやタコには、彼らの賢さを象徴する
こんな異名があります。
俊敏な動きと高い学習能力は、シンプルなボディに搭載された
発達した巨大な脳と高性能の大きな眼が可能にしています。
彼らを見つめること1時間。
そこには、ガラス越しに見る他の生き物たちとは
明らかに異なる“知性”がありました。
“食べる・食べられる”の関係以外に、
“見る・見られる”の見つめ合う間柄。
彼らとはそんな関係も築けそうです。

このつぶらな瞳。
ペットショップで目と目があって思わず、この子を・・・
という場面がよぎります。
東海大学海洋科学博物館
イカが“おいしい”ことは誰でも知っていますが、
改めて“生き物”としての彼らを見つめてみると・・・

東海大学海洋科学博物館にて コウイカ
ホバリングしながらこちらを覗う様子は、
単に刺激に反応しているのとは違う、
思慮深さのようなものを感じます。
“海の霊長類”
イカやタコには、彼らの賢さを象徴する
こんな異名があります。
俊敏な動きと高い学習能力は、シンプルなボディに搭載された
発達した巨大な脳と高性能の大きな眼が可能にしています。
彼らを見つめること1時間。
そこには、ガラス越しに見る他の生き物たちとは
明らかに異なる“知性”がありました。
“食べる・食べられる”の関係以外に、
“見る・見られる”の見つめ合う間柄。
彼らとはそんな関係も築けそうです。

このつぶらな瞳。
ペットショップで目と目があって思わず、この子を・・・
という場面がよぎります。
東海大学海洋科学博物館
その姿はあまりにも神々しい・・・超巨大イカの衝撃

P・ドニ・ド・モンフォール「軟体動物の一般と個別の博物誌」(1802-05)より
海に棲むとされる西洋の伝説の怪物クラーケン。
船を襲うと、古来より恐れられてきました。
その正体ではないかとも言われるのがダイオウイカ。
体長18メートルに及ぶという世界最大の無脊椎動物で、
深海で生きている姿を見た人はいませんでした。
そんな謎の巨大生物を、国立科学博物館の窪寺恒己博士らが
小笠原諸島父島の東沖の深海で生きている姿の撮影に
世界で初めて成功し、NHKスペシャルで放送されました。

2013/01/13 NHKスペシャルより 推定7、8メートルのダイオウイカ
ゆっくりと動く大きなまなこと、黄金色に輝く体。
その姿はあまりにも神々しく美しい、
怪物というイメージからはかけ離れたものでした。
深い海の底にはまだまだ謎がいっぱい。
お空の彼方と同じくらい
果てしない世界が広がっています。
「深海の超巨大イカ」NHKスペシャルサイト
アオイガイ 美しき彼女の揺りかご

栗本丹洲「千蟲譜」(1811)よりアオイガイ(カイダコ)
巻貝の殻を拝借したちゃっかり者のタコ?
いえいえ、こちら “借りもの” ではありません。
現生のタコは通常殻を持ちませんが、
このアオイガイ(カイダコ)は、メスのみが殻を持つ
ちょっと変わった浮遊性のタコ。
自らが分泌する特殊な物質で作った殻は、
浮遊性の彼女らが卵を産み育てるための
“揺りかご”なのです。
世界中の温暖な海に生息し、日本海沿岸では、
冬から春にかけて、しばしば殻が漂着します。
一見、同じ頭足類(イカやタコの仲間)、
アンモナイトの想像図に似ているようですが、
殻のつくり、機能などの点で異なっています。
ちなみに、メスの体長25センチ程なのに対し、
オスは5センチ程の大きさ。
まさに、“ノミの夫婦” と言えましょう。

当館館長が玄界灘沿岸の浜辺で見つけた瀕死のカイダコ
生きた状態で打ち上げられるのは珍しいとのこと。