fc2ブログ

アンモナイトが来た道

発掘しない化石愛好家がつづる 伊豆アンモナイト博物館公式ブログ

2023-12

まぼろしの珍魚 「じんなら魚」を追いかけて

湯けむり立つ池に泳ぐ海の魚たち。
そんな不思議な池がかつての伊東にありました。
その名は「浄の池(じょうのいけ)」。

オキフエダイなどの5種の海の魚たちは、
大正11年(1922年)天然記念物にも指定されました。
当時、この“珍魚”たちを一目見ようと、
たくさんの観光客が訪れたと伝えられています。

じんなら魚2

この珍魚に心奪われた作家、室生犀星(1889-1962)は、
5種の魚の一つ、「じんなら」(シマイサキ科・コトヒキ)(画像参照)
について、つぎの作品を残しています。

「じんなら魚」

伊豆伊東の温泉(いでゆ))に
じんならと伝える魚棲みけり
けむり立つ湯のなかに
己れ冷たき身を泳がし
あさ日さす水面に出でて遊びけり
人ありて問はばじんならは悲しと告げむ
己れ冷たく温泉(ゆ)はあつく
されど泳がねばならず
けぶり立つ温泉(いでゆ)のなかに棲みけり

室生犀星

犀星の孤独と悲哀がしみますが、
たくましい“生命”の存在感も大きく、
印象深い詩です。

さて、この珍魚たちの運命は・・・
昭和33年の狩野川台風の影響で
環境が大きく変わり、彼らは姿を消しました。
池もなくなり、現在は病院になっています。

室生犀星詩碑
「じんなら魚」の詩碑 
伊東市街の松川のほとり、大きなえのきの木の下、
ひっそりと佇んでいます。


スポンサーサイト



 | ホーム | 

 

プロフィール

saccocoma

Author:saccocoma
発掘しない化石愛好家(♀)

石、化石、生き物・・・
たちを色々な視点から
熱いまなざしで
見つめています。
趣味は書店、古書店を
巡り、ときめく書籍を
探すこと。現在
“おもてな師マイスター”
として、おもてなし名人を
目指し奮闘中。

Facebook

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

最新トラックバック

カテゴリ

未分類 (0)
アンモナイト (6)
無脊椎動物 (8)
化石 (5)
ライブラリー (11)
施設・イベント (8)
伊豆・伊東 (1)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR