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アンモナイトが来た道

発掘しない化石愛好家がつづる 伊豆アンモナイト博物館公式ブログ

2023-12

博士の見果てぬ夢 目黒寄生虫館

驚くべきことに、“寄生虫”に人生をささげた人がいます。

目黒寄生虫館の創設者、亀谷了(かめがい さとる 1909-2002)博士。
内科の医師だった博士は、寄生虫のおもしろさに触れ、
1953年、目黒寄生虫館を設立しました。

博士によれば、寄生虫はとても“おだやかな”生き物。
基本的に宿主を害さず、住みかと食べ物を得ているのです。
正しい宿主にたどり着けなかった寄生虫だけが時に悪さをします。

よく知られているアニサキスは、本来サケやサバなどに寄生しますが、
誤ってヒトに入り込んだ場合は激しい腹痛などを招き大惨事に。
何においても“組み合わせ”は大切なのです!

“一人でも多くの人に寄生虫を知ってもらいたい”
そういつも願っていた博士は、2002年7月、93歳で旅立ちました。
病床でも、かねてより構想していた図書館の設立を
いつも気にかけていたといいます。

まさに、“寄生虫一筋”の生涯。

何度訪れても、博士の熱い情熱に触れられる、
こちらはパワースポットのような場所。

目黒寄生虫館3
目黒寄生虫館オフィシャルサイト


寄生虫のユニークな生き様と、博士の驚異的な生き様、
その両方に触れられるエッセイ。
寄生虫館の創設とそのあゆみは、まるでおとぎ話のよう。
愚直な生き方をしていると、思いがけない出会いや
幸運がめぐってくるのでしょう。

ガラス越しに見つめ合って・・・イカは何を思う?

日本人は無類のイカ好き。
イカが“おいしい”ことは誰でも知っていますが、
改めて“生き物”としての彼らを見つめてみると・・・
コウイカ・ペア
 東海大学海洋科学博物館にて コウイカ

ホバリングしながらこちらを覗う様子は、
単に刺激に反応しているのとは違う、
思慮深さのようなものを感じます。

“海の霊長類”
イカやタコには、彼らの賢さを象徴する
こんな異名があります。

俊敏な動きと高い学習能力は、シンプルなボディに搭載された
発達した巨大な脳と高性能の大きな眼が可能にしています。

彼らを見つめること1時間。
そこには、ガラス越しに見る他の生き物たちとは
明らかに異なる“知性”がありました。

“食べる・食べられる”の関係以外に、
“見る・見られる”の見つめ合う間柄。
彼らとはそんな関係も築けそうです。

コウイカ・アップ
このつぶらな瞳。
ペットショップで目と目があって思わず、この子を・・・
という場面がよぎります。

東海大学海洋科学博物館


「雑草に学ぶ『ルデラル』な生き方」 生き抜く・・・

雑草を見つめ、人を見つめる・・・
そんな著者が提唱する生き方が “ルデラル”

“ルデラル”とは、荒地を生きる植物のこと。

予測不能、複雑、不安定・・・
誰もが避けたい逆境をむしろ味方につけて生き抜く、
そんな生き方がルデラル。

例えば・・・
変化が激しい逆境では、少しの大きなタネではなく、
あらゆる可能性に懸け、
たくさんの小さな多様なタネを用意するという風に。

大きな成功を狙うのではなく、
小さな成功を繰り返し、命をつないでいく・・・

“小さく、速く、多様に、しなやかに”
したたかな戦略で生き抜いている雑草。

もはやヒトに勝ち目はなさそうです。
この際、いっそ弟子入りしてみては?




その姿はあまりにも神々しい・・・超巨大イカの衝撃

ビュフォン「軟体動物誌」より
 P・ドニ・ド・モンフォール「軟体動物の一般と個別の博物誌」(1802-05)より

海に棲むとされる西洋の伝説の怪物クラーケン。
船を襲うと、古来より恐れられてきました。

その正体ではないかとも言われるのがダイオウイカ。
体長18メートルに及ぶという世界最大の無脊椎動物で、
深海で生きている姿を見た人はいませんでした。

そんな謎の巨大生物を、国立科学博物館の窪寺恒己博士らが
小笠原諸島父島の東沖の深海で生きている姿の撮影に
世界で初めて成功し、NHKスペシャルで放送されました。

ダイオウイカ
 2013/01/13 NHKスペシャルより 推定7、8メートルのダイオウイカ

ゆっくりと動く大きなまなこと、黄金色に輝く体。
その姿はあまりにも神々しく美しい、
怪物というイメージからはかけ離れたものでした。

深い海の底にはまだまだ謎がいっぱい。
お空の彼方と同じくらい
果てしない世界が広がっています。

「深海の超巨大イカ」NHKスペシャルサイト

いい仕事してます! 驚異の縫合線(ほうごうせん)

拡大縫合線ダメシ
  北海道産 ダメシテス (白亜紀後期)

アンモナイトの表面に菊の葉模様。
これはアンモナイト自体の模様で、
「縫合線(ほうごうせん)」とよばれています。

アンモナイトの殻の内部は、体(軟体部)が入っている
住房(じゅうぼう)と、気体の入っている気室(きしつ)
とで構成されています。

アンモ断面
≪断面≫ 外側の灰色の部分が住房、仕切りに区切られている部分が気室
 北海道産 ゴードリセラス (白亜紀後期)

気室は、隔壁(かくへき)という仕切りで区切られていて、
この隔壁は、中心でカットした断面では単純ですが、
外側にいくほど複雑な曲線を形成します。
表面の殻を剥がすとあらわれるのが縫合線。

見れば見るほど複雑で精緻な模様。
設計図も下絵もなく形成したのです。
まさに、生き物のなせる驚異的な自然の造形美。

いい仕事してます!


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saccocoma

Author:saccocoma
発掘しない化石愛好家(♀)

石、化石、生き物・・・
たちを色々な視点から
熱いまなざしで
見つめています。
趣味は書店、古書店を
巡り、ときめく書籍を
探すこと。現在
“おもてな師マイスター”
として、おもてなし名人を
目指し奮闘中。

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